各概要一覧
平素の準備
1.トップの危機管理意識
- トップ自らが「不当な要求には応じない」という基本方針と姿勢を示し、毅然とした社風を構築しましょう。
- 担当者が気楽に報告できる雰囲気作りをしましょう。
2.社内の体制づくり
- あらかじめ対応責任者、補助者等を指定しておき、対応マニュアル、通報手順等を定めておきましょう。
- 対応責任者は、組織を代表して対応に当たることから、組織としての回答を準備しておきましょう。
- 応対するための応接室を決めておき、録音、撮影機器等をセットしておくとともに暴力追放ポスターや責任者講習修了証等を掲げて起きましょう。
- 反社会的勢力を排除するために契約書や取引約款に「暴力団排除条項」を導入しましょう。
3.警察・暴追センター等との連絡
- 平素から警察や暴追センター、弁護士等との連携を密にし、事案の発生に備え担当窓口を設けておきましょう。
心構え
1.恐れず毅然とした態度
- 暴力団は、警察に通報されることを最も恐れています。
暴力団員を必要以上に恐れることなく、暴力団排除の信念と気迫を感じ取れる態度で対応しましょう。
2.法令、社会のルールにのっとった解決
- 水面下で解決を図ることなく、必ず法律や社会のルールにのっとり、解決を図りましょう。
3.冷静にして、根気強い対応
- 暴力団員の挑発にのることなく、また、逆に挑発することなく、冷静にしかも根気強く対応しましょう。
対応要領の基本
1 暴力団員等が来訪してきた場合
- 来訪者の確認
落ち着いて相手の住所、氏名、所属団体名、電話番号等を確認しましょう。
代理人の場合は、委任状も確認しましょう。 - 用件の確認
どんな用件で来所し、何を要求しているのか確認しましょう。 - 応対場所の選定
素早く助けを求めることのできる場所など、管理権の及ぶ場所で応対しましょう。
暴力団員等の指定する場所には出向かないようにしましょう。 - 相手より多い人数で応対
気持ちを落ち着かせ、相手より優位に立つため、可能な限り相手より多い人数で対応しましょう。
また、役割分担をきめておきましょう。 - 対応時間の明確に区切る
対応時間は可能な限り短くし、最初の段階で「何時までなら対応します。」などと告げ、対応する時間を示しましょう。 - 言動に注意
巧みに論争に持ち込み、対応車の失言を誘い、言葉尻を捉えて厳しく糾弾してきます。
「申し訳ありません」「検討します」は禁物です。 - 理由のない書面は作成しない
詫び状や念書など、後日金品要求の材料とされる恐れのある書面は書かないようにしましょう。 - トップは対応させない
社長等決定権のある者が対応すると、即答を迫られたり、次回以降の交渉でも「前は社長が会った」「社長が会わない理由を言え」などと食ってかかられることもあります。 - 即答や約束はしない
暴力団の対応は、組織的に対応することが大切です。相手の要求に即答や約束はせず、組織としての方針を検討した上で対応しましょう。 - 湯茶の接待をしない
湯茶を出すことは、暴力団員が長居することを容認することになりかねません。
また湯飲み等を投げつけるなど脅しの道具に使われることもあります。 - 応対内容の記録化
電話や面談の内容は、犯罪検挙や行政処分、民事訴訟の証拠になります。
メモや録音、ビデオカメラによる撮影を活用しましょう。 - 機を失せず警察に通報
暴力団員が暴力を振るうなど不法な行為に及んだときは、直ぐに 110 番通報しましょう。
2 一方的に本などを送り付けて来た場合
- 自宅や会社に送られて来た商品等の契約の有無について十分確認しましょう。
家族や役員等が断りきれずに契約しているケースもあります。 - 契約の事実があったが場合でも、一定の期間内(8日以内)であれば「クーリングオフ」制度を利用して契約を解約できる場合もあります。
- 契約の事実がない場合
(ア) 特定商取引法(令和3年7月6日改正)により、注文等していないのに一方的に送り付けられた商品は、一定期間保管することなく直ぐに処分できます。
(イ) 相手から金銭を要求されても支払いに応じる必要はありません。
仮に送られて来た商品を開封して処分しても、金銭等の支払いは不要です。
(ウ) 誤って金銭を支払っても、返還請求できます。
商品の代金等を請求され、支払いの義務があると誤解し、金銭を支払ってたとしても、その金銭については返還を請求できます。
3 電話で不当な要求を強要された場合
- 相手(団体名・所在地・姓名)を確かめ、用件をハッキリと聞きましょう。
- 相手が暴力団等反社会的勢力を名乗ると、それだけで気後れして確認不十分になりがちです。勇気を持って確認しましょう。
- 法的な措置(被害届など)をとる場合は、相手の確認は絶対に必要です。
名前だけでなくハッキリと姓名を確認しましょう。 - 会話の内容を録音、ビデオやメモに残しておくと、後日の紛争の際有効な証拠になります。
録音やメモの問題は、あなたが会話の当事者ですから録音しても法的な問題はありません。 - 社長・所長・店長等トップには絶対に取り次がず担当者で対応しましょう。
いきなり決定権を持つ者が対応すると、その場で即答を迫られ、よく検討する余裕もなく不利な結果となりがちです。
平素から社内での電話取り次ぎ要領を支持しておくことが必要です。 - 「同業者の多くが賛同している」などと強要されても、不要と判断した場合はハッキリと断りましょう。
- 「検討します」「上司に相談します」などは、相手に新たな口実を与えます。
「結構です」「いいです」は承諾したと受け取られるので注意しましょう。 - 電話対応はできるだけ短く、早い段階で明確にキッパリと断りましょう。
4 突然の訪問で不当な要求を強要された場合
※ 電話対応編に加え、次の点に注意する。
- 応対場所及び時間の制限をする。
他の者から見渡せる場所や部屋で対応し、ドアは開放しておきます。
相手が場所を指定してきた場合は、従う必要はありません。
応対時間はできるだけ短くし、最初に面談時間を「○○分」「○時○○分まで」と伝えておきましょう。 - 湯茶の接待はしないようにする。
湯茶の接待は長居を認めたと思われたり、不測の時に投げつけられたりする危険があります。 - 用件が終わった場合や制限時間が来た時は退去を求める。
時間が来ても応じず、執拗に退去しないときは、110 番通報も検討しましょう。 - 相手より多い人数で対応する。
相手が多い場合は、人数を制限しましょう。 - 応対者の役割分担をする
応対担当、記録(録音)担当、連絡担当、確認担当等の分担を決めましょう。 - 相手方、用件の確認をする。
通常の応対と同様に相手に聞く、名刺を貰うなどにより相手を確認する。
来訪の用件についても、相手からハッキリと説明してもらい、こちらで勝手に推測、憶測しないようにしましょう。